心理士自身が心理療法を受けることについて

2018年03月09日

心理士自身が心理療法を受けておくという考えについて

 

心理療法をする場合しばしば言われることとして、心理士自身が心理療法を受けると方が良いということがあります。心理療法を受けるメリットについて考えていきます。

心理療法を受けるメリット
・自分自身の物事の見方の特徴を少しでも知っておける
 物事の見方はそれぞれの人で違うわけですが、自分の物事の見方に囚われるのではなく、自分の物事の見方に気づき、少し距離を置くことができれば、自分とは違う人の物事の見方に気づきやすいところが出てくるかもしれません。

・自分自身の気持ちの動きに気づくこと
 私たちが気づかない一瞬の間にこころの中の気持ちは大きく動いています。突然怒りだす人がいるように普段そのことを意識する機会はないですが、心理療法を受けることでその気持ちの動きを体験する機会になるかもしれません。

・「自由連想」や「転移」などの概念を経験できること
 教科書で「自由連想」という言葉を見ても、人が自由に思いつくこと、という理解ですが、実際に体験することで、自由連想から広がる気持ちの世界を体感できるかもしれません。また、「転移」についても、人がどのように体験するかを経験する機会になるかもしれません。

・技術的な歴史を体験できること
 心理療法を受けることで、心理療法の立ち居振る舞いや、関わりを体験する機会になるかと思います。休みの取り方も参考になるかと思います。
 
 これらのことを通して、心理療法を行う上でクライエントの生きた体験をどのように体験し、関わるかという力がついてくるかもしれません。ここまでは、心理療法を受ける陽に当たった面を書いています。


心理療法を受ける上で大変なこと
 次に、心理療法を受ける上での大変なことを考えていきます。
 
・考えなくても良いことを考えることで自分の日常生活に影響が出るかもしれないこと
 あまり思い出したくない時期のことが現在の生活に現れてくるかもしれません。

・気持ちを考えることは思ったよりも大変なことが多いこと
 気持ちを考えるとき、楽しい気持ちだけを考えるわけにはいきません。苦しかった、寂しかった、辛かった、そんな気持ちを考えることになるかもしれません。

・生活圏内に心理療法を受けられる場所があるとは限らないこと
 都市部なら問題はないでしょうが、地方では近くに思う心理療法士が見つからないかもしれません。その場合、都市まで心理療法を受けに通うことになるかもしれません。

・時間的制約を受けること
 心理療法士が見つかったとしても、心理療法士の空いている時間が平日午前中だけかもしれません。その場合、平日午前中に心理療法を受けるために、仕事の調整をする必要があります。

・訓練のためとはいえ費用がかかること
 心理療法の料金としては1回5000〜10000円くらいが相場かと思います。週に1度だと月に20000〜40000円、週に2度だと40000〜80000円がかかります。ただ、可能な範囲で料金の相談に応じる心理療法士は多いと思います。
  
 
 おそらく、自分自身が心理療法を受けたことのある心理士は多くはないと思います。そして、知識を基に仕事をする心理判定員などの仕事ではあまり必要性は低いかもしれません。しかし、もしも誰かとの情緒的な関わりを深く持つような心理療法を専門にしたいのならば、心理療法は受けておいた方が良いかと私は思います。

 


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